映画「依頼人」

映画「依頼人」は、「評決のとき」と同じくジョン・グリシャム原作のベストセラー同名小説を映画化した作品です。出版は「評決のとき」の方が先でしたが、映画化は「依頼人」が先で、グリシャムはこの映画のできに大変満足し、「評決のとき」の映画化に当たっては同じワーナー・ブラザーズ製作で、ジョエル・シュマッカー監督、スタッフもほぼ同じ面々を希望したのだそうです。

ストーリー(ネタバレ)

11歳の少年マーク・スウェイはテネシー州メンフィスの森の中で、8歳の弟のリッキーと隠れてタバコを吸っていました。そこで2人は偶然、車の排気筒にホースをつないで自殺しようとしている男を目撃してしまいます。リッキーがパニックになっている中、自殺を防ごうとマークはこっそりホースを引き抜こうとしますが、男に気付かれてしまい、自殺の道連れを強要されます。男は弁護士のジェローム・クリフォードでした。彼はマークに、マフィアが殺した上院議員の死体の在り処を教えます。マークはわずかな隙を見つけてジェロームから逃げ出し、泣きじゃくる弟を連れて上手く隠れますが、追ってきたジェロームが拳銃で自殺するところを目にしてしまいました。リッキーはショックのあまりPTSDになって入院してしまいます。マークは警察に事情を聴かれましたが、何も答えませんでした。話せば自分や家族の身が危ないと分かっていたからです。マフィアはすでに彼に目をつけていました。一方、知事を目指す野心家の連邦検察官ロイ・フォルトリッグも、FBIとともにマークを追っていました。追い詰められたマークは、病院で拾った弁護士事務所のチラシを頼りに、全財産の1ドルを持って事務所に駆け込みます。そこにいたのはやり手の女弁護士レジー・ラブでした。彼女は11歳の少年のたった1ドルの依頼を引き受けてくれたのでした。彼女はあることがきっかけで心に深い傷を追ったため、困っているマークの気持ちが人一倍わかるのでした。マークはレジーの力を借り、マフィアやFBIの追手を上手く交わしていきます。マークを中々捕まえられないことに焦り始めたフォルトリッグは、マークを証人として召喚し法廷で証言させることを思いつきます。真実を話せば命が脅かされ、証言を拒めば拘留されてしまうという絶対絶命の状況に追い込まれたマーク。彼はクリフォードから聞いた死体の在り処を確かめていくことを決めます。レジーもまた、彼の決心が固いことを知り、一緒に現場へと向かいます。現場ではマフィアに見つかってしまいますが、うまく逃げることが出来ました。レジーはフォルトリッグに死体の在り処を教える代わりにマークの家族に証人保護プログラムを適応してほしいと交渉します。フォルトリッグはそれを受け入れ、マーク達家族はレジーが見守る中、新しい人生に向けて飛び立っていくのでした。

キャスト

  • レジー・ラブ・・・スーザン・サランドン
  • ロイ・フォルトリッグ・・・トミー・リー・ジョーンズ
  • マーク・スウェイ・・・ブラッド・レンフロ
  • ダイアン・スウェイ・・・メアリー=ルイーズ・パーカー
  • バリー・マルダーノ・・・アンソニー・ラパーリア
  • ハリー・ルーズベルト判事・・・オジー・デイヴィス
  • クリント・フォン・フーザー・・・アンソニー・エドワーズ
  • ジェイソン・マクスーン・・・J・T・ウォルシュ
  • リッキー・スウェイ・・・デヴィッド・スペック
  • ラリー・トルーマン・・・アンソニー・ヒールド
  • グリーンウェイ医師・・・ウィリアム・H・メイシー
  • トーマス・フィンク・・・ブラッドリー・ウィットフォード
  • ポール・グロンキー・・・キム・コーツ
  • ハーディ巡査部長・・・ウィル・パットン
  • ジョニー・スラーリ・・・ロン・ディーン
  • ジャック・ナンス・・・ジョン・ディール
  • ママ・ラブ・・・ミコール・メルキュリオ
  • ジェローム・“ローミー”・クリフォード・・・ウォルター・オルケウィック
  • ドリーン・・・キンバリー・スコット
  • カレン・・・エイミー・ハサウェイ
  • クローデット・・・ジョー・ハーヴェイ・アラン
  • スリック・モーラー・・・ダン・カステラネタ
  • ハリー・ボーノ・・・ウィリアム・リチャート
  • ナッサー警部・・・マーク・キャバス
  • ギル・ビール・・・ウィル・ザーン
  • 患者・・・トム・ケイジー
  • 廷吏・・・ジェフリー・バックナー・フォード
  • 受付嬢・・・ルビー・ウィルソン
  • 盗聴FBI局員・・・トミー・クレスウェル

スタッフ

  • 監督・・・ジョエル・シュマッカー
  • 脚本・・・アキヴァ・ゴールズマン、ロバート・ゲッチャル
  • 原作・・・ジョン・グリシャム
  • 製作・・・アーノン・ミルチャン、スティーヴン・ルーサー
  • 音楽・・・ハワード・ショア
  • 撮影・・・トニー・ピアース・ロバーツ
  • 編集・・・ロバート・ブラウン
  • 製作会社・・・リージェンシー・エンタープライズ

エピソード

この映画でデビューしたブラッド・レンフロは、5000人の候補の中から選ばれました。南部訛りの発音や独特のリズムの表現は子役には難しく、テネシー出身者であるブラッドが選ばれたのだそうです。映画に選ばれた理由について、ブラッドは12歳ながら「監督が母ちゃんとセックスしたから」と発言しました。また、劇中の喫煙シーンでは監督が「あれが演技だと思うかい?」と匂わせるなど、マークと同じく悪ガキだったと言われていました。ストーリーはほぼ原作に忠実に映像化されていますが、上下巻のストーリーを2時間にまとめるために割愛された部分があるほか、マークの敵としてマルダーノが全編に登場し、マフィアの登場人物は抑えられています。原作でのマルダーノはFBIに監視されており、死体を彫り出す場面にも登場しませんでした。映画で死体を掘り出したのは、ボノ、グロンキー、マルダーノでしたが、原作ではブル、イオナッチ、レオというマフィアの一員で、警報を鳴らしたのもレジーではなく、マークでした。また、フォルトリッグも法廷へ出ていないほか、終盤の取引にも参加していません。法廷ではマークは涙を流し、ローズヴェルト判事ももらい泣きしますが、映画では淡々と終わっています。廷吏に賄賂を渡し、証言を聞きだしたのは映画ではマフィアの探偵でしたが、原作ではスリック・モラー記者でした。

感想

この映画を観るきっかけになったのは、ブラッド・レンフロの突然死でした。5000人のオーディションを勝ち抜き、主役の座を射止めたブラッドでしたが、ヘロインの過剰摂取で2008年に急死しています。わずか25歳でした。この映画に出ていたころのブラッドは、とても子供らしく、いたずらっ子のように笑う笑顔が可愛くて印象に残っています。役者としてもこれからというときだったのに残念でなりません。この映画にはブラッドの他にも大物俳優が沢山出ています。私はレジーを演じたスーザン・サランドンが大好きなのですが、この映画でさらに好きになりました。もし私がレジーの立場で、マークが事務所にやって来て仕事を依頼された時、果たして受けてあげることができるだろうかと考えました。くしゃくしゃの1ドルを持ってマフィアに追われてると言われても、彼の言葉を信じてあげられないのではないかと思います。大人を信用していないマークが、レジーに助けを求め、レジーの心からのマークを助けてあげようという思いが、彼の心を少しずつ溶かしていく様子も見ていて心が温まりました。また、弟を思うマークの真摯な気持ちがレジーにも伝わったからこそ、彼女は依頼を受けてくれたのかなと思います。サスペンス部分や法廷部分ももちろん面白いのですが、レジーとマークの心の交流も、この映画の大きな見どころだと思います。弱いものを助けるヒーローのような弁護士・レジーの活躍に心晴れやかになる映画でした。

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