ドラマ版「弁護士のくず」

漫画「弁護士のくず」は、2006年にドラマ化されています。主人公の九頭役を豊川悦司が、相棒の武田真実を伊藤英明が演じました。ドラマオリジナルのキャラクターや、原作をベースにしつつも全く違う展開のストーリーなどもあり、原作ファンからも高い評価を得たドラマでした。いつもはクールな豊川悦司が、ダメ人間の九頭を演じる姿がとても印象的でした。

ドラマ版「弁護士のくず」について

2006年4月13日から6月29日までTBS系列で放送されました。放送時間は毎週木曜日22時~22時54分まででした。主演は豊川悦司で、それまでクールな役や繊細な役が多かった豊川が、本作ではキツいパーマヘアに頬紅で原作の九頭と同じように丸い頬っぺたを描くという個性的なビジュアルと、豊川のキャリアに裏打ちされた演技力で、九頭のキャラクターを強烈に打ち出しています。内容はコメディ調のサスペンスドラマです。また、原作では女性だった武田真実(たけだまみ)は

男性キャラクターに変更され、名前の読み方も「まさみ」に変更し伊藤英明が演じました。これは、男女のコンビにすると恋愛のイメージが出やすいため、あえて男2人にしたとされています。また、原作では男性だった九頭の同僚、加藤公平を「加藤徹子」という女性に変更して高島礼子が演じ、重要な役割を持つキャラクターとなっています。ドラマオリジナルのキャラクターとしては、古書店を営む法廷マニアで九頭の飲み友達という国光裕次郎が登場し、モト冬樹が演じています。このキャラクターは後に、原作漫画の方に逆輸入という形で登場しています。

スタッフ

  • 原作・・・井浦秀夫
  • 脚本・・・荒井修子、滝本智行、中島敦彦、きだつよし
  • 音楽・・・梅堀淳
  • サウンドデザイン・・・石井和之
  • 主題歌・・・「GO MY WAY」hitomi
  • 法律監修・・・本山信二郎
  • 法律実務指導・・・本村健太郎
  • 原案協力・・・宮坂保志、成田明弘、大村信
  • プロデューサー・・・貴島誠一郎、橋本孝、川西琢
  • 編成担当・・・高野阿弥子
  • 演出・・・今井夏木、酒井聖博、竹村謙太郎、森嶋正也
  • 製作・・・TBS、ドリマックス・テレビジョン

登場人物

九頭元人・・・演:豊川悦司

白石誠法律事務所に所属する40歳の弁護士。女好きでよくナンパをしたり、「区役所職員」と身分を偽ってキャバクラに毎日のように通いつめるなど、弁護士とは到底思えぬ下品な発言や型破りな行動が多い人物です。しかしその一方で、依頼人や当事者のちょっとした言動を鋭く把握する洞察力に長けており、その能力が事務所の同僚にも一目置かれています。また、難しい案件の検証を遅くまで一人で行ったり、国光の営む古書店で必要な知識を仕入れたりと案件解決のための努力を怠らなかったり、かつての恋人であった秋野葉月に対する思いやりを持ち続け、葉月の見合い相手の無神経な言動に激怒したりするなどの真摯な一面も持ち合わせています。ドラマ版オリジナルの設定としては、初対面の相手には「弁護士のくずです、ヨロシク!」と自己紹介をします。浪費癖があり、前述のキャバクラ通いやパチンコのせいで、金銭的に困窮することもしばしば。手品、特にカードマジックが得意です。事務所の机の上は様々な玩具で埋め尽くされています。好物は、生卵を入れた日清カップヌードルです。携帯の着メロはイヌ、ネコ、カラス、ウマ、ウシ、セミ、ゾウといった動物の鳴き声です。鼻か頬に絆創膏を貼っており、見せ場ではそれを剥がします。

武田真実・・・演:伊藤英明

白石誠法律事務所に所属する、28歳の生真面目で熱血漢の新人弁護士です。「人権派の弁護士、白石誠」に憧れて鹿児島から上京したのですが、九頭とコンビを組まされてしまいます。感情の起伏が激しく、興奮すると鹿児島弁が出てしまったり、映画を観て号泣したり、不遜な態度をとる担当した弁護人を怒りに任せて殴ろうとした事もあります。女性への免疫が極端に弱く、女性経験は2.5人だそうです。結構鈍臭いところがあり、失敗しては「しもた~!」と叫んでいます。剣道5段で、携帯電話の着メロはアニメ版「赤胴鈴之助」のオープニングテーマ『がんばれ!赤胴鈴之助』です。徹子に憧れており、最終回では「徹子と結婚する」と宣言しました。

加藤徹子・・・演:高島礼子

白石誠法律事務所に所属する39歳の弁護士。以前は大企業の顧問弁護士を務めており、その時に九頭と対決したことがあります。その裁判の跡、九頭の弁護士としての考え方に共感し、白石誠法律事務所へ入所しました。九頭のことを憎からず思っており、武田は可愛い後輩とみていて、恋愛対象とは思っていません。結婚していないことを非常に気にしており、年齢や恋愛の話になると機嫌が悪くなります。

小俣夕花・・・演:星野亜季

白石誠法律事務所で働く26歳の事務員です。グラマラスで合コン好きで男の扱いが上手い、いわゆる今風の女性です。事務所のマスコット的存在であり、目標はお嫁さんにしたい女性になること。しばしば九頭にお尻を触られますが、全く意に介さない一方で、武田の同様の行為に対してはセクハラ呼ばわりします。

国光裕次郎・・・演:モト冬樹

九頭の飲み友達で、古書店を経営しています。48歳で、離婚歴ありの独身です。法廷マニアであり、頻繁に公判を傍聴しています。会話の中で小説の一説をつぶやくなど、時折マニアックな知識を発揮します。また、ヤクザの事務所の電線を切断したり、異なる小説作品の作者が同一人物かどうかを推定するなど、九頭のバックアップを行うときもあります。テレビドラマ版のオリジナルキャラクターでしたが、番組終了後より全く同じ設定のキャラクターとして漫画版に登場しています。

白石誠・・・演:北村総一朗

白石誠法律事務所の所長です。コメンテーターとしてテレビにもよく出演しており、認知度も高いです。人権派として知られていますが、実態は小市民的であり、テレビの姿と実際の姿にかなりのギャップがあります。「事務所の職員はファミリー」と考えており、型破りな一面を見せる九頭もクビにはしません。愛妻家で、妻を「ワイフ」と呼んでいて、家では「クリリン」という犬を飼っています。毎週、事務所の掛け軸に自筆の一言を書いています。民事訴訟を得意としていますが、自分の信条で少年事件の付添人、家事事件、破産事件などの、いわゆる「金にならない事件」を多く引き受けており、そのためか事務所は飾り気のない小規模なものとなっています。小市民的な面を見せながらも真面目な人物なのですが、九頭もツッコミを入れるほどのボケ的キャラクターでもあります。

秋野美月・・・演:村崎真彩

第5話で登場し、以降レギュラーとなった小学4年生の女の子です。母親である秋野葉月が交通事故死し、叔父に引き取られたのですが、その家庭が経済的に苦しかったせいもあり、義理の叔母に冷遇されて家出し、母親が生前に父親と言っていた九頭の姿をテレビで偶然見て、白石誠法律事務所を訪ねてきました。実際に九頭と血縁があるかどうかははっきりしていませんが、紆余曲折の末、九頭が親子関係を認知して共に暮らすことになりました。そのため、九頭との血のつながりのはっきりしない親子関係に悩み、九頭に慰められることもあります。偶然会った九頭の依頼人に「父がいつもお世話になっております」と挨拶したり、弁護士事務所を訪れてお菓子を出された時には「ありがとうございます」とお礼を言ったり、朝は九頭を起こして食事を作ったりと、言動は年齢の割にとても大人びています。似顔絵を描くのが得意です。作文で「将来の夢は弁護士になること」と書きました。原作ではメガネをかけていますが、ドラマではかけていません。

感想

原作を読んでいるとき、これをドラマにしたら面白さが半減してしまうのではないかな、と不安に思っていました。九頭の役は、ビジュアル的にもキャラクター的にもどう見てもビートたけしで、彼が九頭の役を引き受けてくれるわけがないですから、イメージが大夫代わってしまうことを懸念していました。ドラマ版のキャストが発表された時、九頭を豊川悦司が演じると知って大変驚きました。イメージと違うことももちろんなのですが、あのクールでかっこいい豊川悦司が「人間のくず」とまで言われるダメ人間を演じることに驚いたのでした。ドラマが始まってみると、私の不安は杞憂だったことが分かりました。豊川悦司は頬っぺたを赤く塗り、パンツ一枚で走り回る駄目オヤジを見事に演じていて、とてもコミカルでした。真実を男性に変えていたのも良かったと思います。九頭との仲を盛り上げるようなチープなドラマにならず、きちんと原作のストーリーを重視して描かれていたので好感が持てました。原作ファンの方にも見ていただきたいドラマでした。

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